どうも!IT業界から養豚場に転職し、毎日楽しく勤務中、ぶたちゅうです。
IT技術はどんどん進歩しており、
養豚でも導入することで効率的になる技術が色々と実用化されています。
でも、こんな悩みありませんか?
今まで、昔ながらのやり方でやってきたもんで、急にITって言われても何を入れていいかわからん!
そこで今回はIT化を進めるにあたり、選ぶべき会社とサービスを纏めます。
こんな人にオススメです。
- IT化を進めたいけど、どんなサービスがあるかわからない
- 色んなサービスがあってどれを選ぶべきか迷う
- どのように導入を進めていいかわからない
業界全体として紙文化の慣習が強く(大手のエサ屋さん、と畜場が紙文化なのは驚きました…!)
IT化の情報自体も少ないので迷う事が多いと思いますが、一緒に勉強していきましょう!
過去のIT業界の経験と現在勉強中の養豚経験を合わせて、
なるべくわかりやすく解説していきますね!
今回の記事を読んでいただければ、こんなメリットがあります。
- 現在導入できるサービスがわかる
- 自社の要望に添う会社がわかる
- 導入までにやるべきことがわかる
「ITってそもそもなんぞ?」「養豚でITを入れるメリットあるのかな?」という方は、
こちらの記事で詳しく纏めているのでご覧くださいませ!
それでは本編に行ってみましょう~!
養豚にICT/IoT技術を導入するなら選ぶべき5社とそのサービス
まず、養豚農家さんがITシステムを導入した場合、
効率化や利益率の上昇効果が大きいのはこれらになります。
- 温度/湿度管理
- 飼料/水管理
- 体重管理
これらからシステム化する理由としては、
豚の成長に重要な要素と利益に直結する要素からシステム化する、という事です。
詳しくはこちらの記事で纏めてありますので、
気になる方は合わせてご覧ください。
この3種類を完璧に対応している会社やサービスは現在(2021年6月時点)無い為、
実際の導入時は自社にとって重要度の高いものを取り扱っている会社から導入する事になります。
各社、技術開発は進んでいる途中なので、
追々全ての項目にIoT技術が導入されると思いますが、
しばらくは様子見ですね。
そして具体的な会社名とサービス名がこちらです。
それでは早速それぞれの会社の具体的なサービス内容を紹介していきます。
各社のサービス内容詳細
上にも記載した通り、現段階では全てを兼ね備えたサービスはありません。
各社重要視している要素があるので、
どの会社のサービスが自社にあっているか、比較検討する事になります。
その中で、僕の目線でのオススメ会社も記載していきますね。
2019年に元々の飼料会社から事業部独立した新鋭の会社です。
早くからクラウドファンディングにも取り組み、
養豚業界のゲームチェンジャーになるべく奮闘中です。
★補足★
クラウドファンディング:
デジタル上の寄付です。応援したい会社に寄付をして、対価に商品や株券がもらえます。
ゲームチェンジャー:
最新技術で今までの事業のやり方を大きく変えてしまう存在です。
考えられなかったレベルの効率化などでそれが実現します。
取り扱っているサービスはAIカメラのPIGI(ピギ)です。
※PIGIがメイン商材ではなく、自家配合プラントの設営やコンサルタントがメイン事業なようです。
【サービス概要】
カメラを豚舎に設置し、豚を個体識別。
1台で50頭までの監視が可能。
温度/湿度センサーもカメラに組み込み済。
【できる事】
体重管理:各個体を追跡するので現在体重のみならず、1日増体重も追跡可能
体調管理:死亡豚や病気などの豚の発見
温度/湿度管理:センサーにて自動測定
自家配合プラントのコンサルという本業を考えると、
体重管理したデータを活用して自家配合の細やかな調整などができそうですね。
PIGI自体は製品として大々的に売り出している訳ではなく、
まだお試し版を発表した段階ではありますが、
将来的には見回りがほぼ不要になる未来まで視野に入る為、
注目、オススメの企業です。
2017年設立、まだ若い会社と言えます。
会社ホームぺージにこんな記載があり、遊び心がありますね。
設立日:平成29 年11 月29 日(平成で一度の“いい肉の日”)
若い会社ではありますが、設立直後から農林水産省や県の採択事業にも選ばれており、
実績としては十分だと思います。
取り扱っているサービスは養豚管理システムのPorker(ポーカー)です。
https://www.eco-pork.com/service
【サービス概要】
今までは野帳で管理していた様々な数値をデジタル上で管理するツール。
(産子数、事故率、受胎率、回転率、飼料要求率など、経営上必要になる指標)
データで管理することで分析や改善が容易になり、経営の安定化、利益率向上に繋げられます。
【できる事】
各種データ管理:蓄積したデータの分析とアラート表示
温度/湿度管理:別途センサーと連携することで温度/湿度の見える化
入力したデータと温度データを組み合わせることで事故率と温度の関係性や受胎率との関連など、
自農場の状況を分析、可視化ができます。
蓄積したデータを活用できる人材の有無にもよりますが、
経営を強力にサポートするツールになりえますし、
今後の展開も要注目、オススメの企業です。
個人的にはタブレットに書いた文字がそのままデータとして取り込める
デジタル野帳という機能が秀逸だと感じました。
養豚農家の現場がわかっている発想です。
2004年設立、ひらたく言えばIT関連の何でも屋さんでり、養豚専門ではありません。
取り扱っているサービスは養豚管理システムの見える豚(みえるとん)です。
https://www.iot.systemforest.com/service/mieruton/
【サービス概要】
各種センサーを豚舎内に設置し、それらに連携、集約するシステムを作る事で、
多数の項目の見える化が可能。
【できる事】
温度/湿度/酸素濃度管理
餌消費量/水消費量管理
体重管理(1日増体重ではなく、現時点の体重のみ)
使用電力管理
各種設備の稼働管理(スクレーパー/浄化槽/コンポストなど)
現段階では最も多くの項目を見える化できるサービスです。
コーンテック、Eco-Porkとは違い、自前でセンサー設備を持つわけではなく、
各社のセンサー機器を集約し、一元管理できるシステムを作っているようです。
強味として、他にも測定したい項目がある場合、センサー機器さえどこかの会社から発売されていれば、
それらを連携して自由に監視項目は追加できそうです。
従って最も各農家の希望に添ったシステムの開発/導入ができると考えます。
最大手、伊藤忠商事の子会社である伊藤忠商事です。
今までの中では規模が最大の会社になります。
取り扱っているサービスは体重測定ができるデジタル目勘(めかん)です。
https://www.itochu-f.co.jp/business/it/digital-mekan.html
【サービス概要】
小型の端末で豚を撮影、体重が測定できる
【できる事】
非接触型での体重測定。
小型の為、一人で手軽に体重測定が可能。
体重測定は重要ですが、大変ですし、数人がかりで行う必要のある作業です。
ところがこの技術があれば1名で体重測定が可能です。
持ち運びも含め、1人で全て行えるのは楽であり、メリットですが、
豚の体制によっては正確に測れない事と、
測定誤差が4.5%と少し大きい事が懸念です.
個人的にはもう少し技術が進む事を期待しています。
少し番外編ですが、要注目の技術なので紹介します。
宮崎大学の研究室が発表しているのでまだ製品化はしていませんが、
豚の体重が見えるAR眼鏡があります。
https://www.miyazaki-u.ac.jp/public-relations/20210525_01_press.pdf
【サービス概要】
かけるだけで豚の体重が表示されるAR眼鏡。
【できる事】
体重測定:これをかけて豚を見ると、豚の体重が眼鏡内に表示される。
あと、戦闘力が表示されるので53万の豚が即座に発見できる
伊藤忠のデジタル目勘より技術力が高く、
コーンテックのPIGIよりお手軽なので、実用化するのが非常に楽しみな技術です。
既に工場などでは実用化されている技術であり、
眼鏡をかけるだけで品質が映し出されたり、次の工程の指示が表示される、という使い方をされています。
導入までの具体的筋道
では実際に導入を検討する場合にどうしたらよいでしょうか?
実は、”IT技術だから”という特別な事は何もありません。
豚舎を立てたり、設備を導入するのと何も変わらないです。
具体的には下記ステップです。
- 自社の課題を見つけ出す
- その課題の解決方法を考える
- 解決方法を提供している会社をピックアップする
- 複数社に見積もりをとる
- サービス説明を理解できるまで受ける
- 導入する
どうですか?
簡単でしょ?
勘違いしてはいけないのは、ICT/IoT技術は①②がスタート地点にあって、
その解決としてどれを選ぶか、の部分です。
IT技術を入れる事で効率化できるのでなく、
非効率な部分に対して技術を入れる事で効率化が図れます。
未知の技術の場合、入れれば何とかなる、と思いがちですが、
本質は決してそこではないので導入の際には是非注意してくださいね。
まとめ
如何でしたでしょうか?
今回は養豚農家が取り入れるべきICT/IoT技術と具体的なサービス内容について纏めました。
- IT技術で管理すべきは「温度管理」「飼料/水管理」「体重管理」の3点
- コーンテックはAIカメラのPIGI
- Eco-Porkは管理システムのPorker
- システムフォレストは管理システムの見える豚
- 伊藤忠飼料は体重測定のデジタル目勘
- 宮崎大学は体重測定のAR眼鏡
- 導入時に注意すべきなのは「自社の課題を解決するのはどの技術か」の視点
もしわかりにくいところやもっと詳しく聞きたい場合などあれば、
お気軽に問い合わせから連絡をくださいませ!
現場の目線から農場さんの要望に添う内容を一緒に考える事もできると思います。
(簡単なシステムであれば僕が作る事もできますし)
前職の知識が養豚界の発展に役立てば嬉しいので、
あなたの農場の課題を一緒に解決させてください!
ちなみに、僕は記載している会社とは全く関係なく、
ただの一養豚農家に勤務中な事を強くお伝えしておきます。
決して宣伝目的であったり仲介料をもらったりではありませんので(笑)
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました~!