養豚場の分娩舎ってどんな部屋?【役割と仕事内容を解説】

養豚場って色んな部屋があるんでしょ?
「分娩舎」ってのは何をする部屋なの?

ぶたちゅう
ぶたちゅう

OK!じゃあ今回は分娩舎がどんな部屋かと、

分娩舎の仕事内容をおおまかに解説するね!

養豚場では種付け舎、離乳舎、肥育舎など、様々な部屋がありますが、
今回はその中でも分娩舎について解説していきます。

こんな人にオススメの内容です。

  • 分娩舎がどんな部屋なのか知りたい
  • 分娩舎での仕事内容が知りたい
  • 分娩舎の仕事でどんな事に気を付けているのか知りたい

今回の記事を読んでいただければ、
・分娩舎がどんな部屋なのか
どんな使われ方をしているのか
・分娩舎での仕事内容とコツ

を理解することができます。

ということで本編に行きたいんですが、
その前に少しだけ自己紹介させてください。

書いているのはこんな人

ぶたちゅう と言います。
IT業界から養豚業界へ転職し、日々豚について勉強中。

自分と同じような未経験での転職者や
養豚初心者の助けになりたい
と思い、
毎日の業務の中での疑問や学んだ事を纏めています。

それでは本編スタート!

1.分娩舎とは?

養豚場における分娩舎とは、その名前の通り分娩するところです。

また、分娩するだけではなく、その後の哺乳期間もそこで暮らす部屋になります。

ぶたちゅう
ぶたちゅう

だからお母さん豚と子豚、どちらにとっても快適な空間が必要なんだよ!

母豚は分娩の1週間ほど前に引っ越しをしてきます。
そして出産を迎え、その後の約3~4週間は哺乳期間となるので、
合計で約1か月強、分娩舎に滞在しています。

分娩舎の基本的な構造は、こうなっています。

 

母豚の檻の周りに子豚が自由に動けるスペースがあるんだね!

でもなんでこうなっているの?

ぶたちゅう
ぶたちゅう

生まれたての子豚が母豚に踏まれないように、逃げるスペースを作ってあげているんだよ!

最近では母豚の立つ/座るに合わせて台座が上下することで、
子豚が潰される事を防ぐ装置も使われています。

2.分娩舎での仕事内容

それでは次に分娩舎の仕事内容を見ていきましょう。

さっきも記載した通り、分娩舎は母豚と子豚、どちらも滞在する特殊な部屋です。
なので分娩舎の仕事内容としては大きく分けるとこの2種類にわかれます。

  • 母豚の為の仕事
  • 子豚の為の仕事

ここでは順番に紹介していきますね。

2-1.母豚の為の仕事

母豚の為の仕事は大別すると、
「分娩前」「分娩中」「分娩後」に分かれます。
時系列に添って紹介していきましょう。

分娩前

温度、湿度などに気を配り、体調を崩している豚がいないかの確認がメインです。

ぶたちゅう
ぶたちゅう

やっぱり豚にとっても引っ越しはストレスだからちゃんと様子を見てあげなきゃね!

実は分娩舎とその他の部屋では餌が変わるんです。
中には好みにうるさい豚もいて、「以前のエサじゃなきゃ食べない!」なんて場合も…

そんな時は以前のエサと混ぜてあげたり、なんとか食べてくれるように工夫していきます。

分娩中

分娩中は適正に分娩が進んでいるかを見るのが一番の仕事です。

適正に分娩が進むってどんな状態?

ぶたちゅう
ぶたちゅう

定期的に子豚が生まれてきている状態を言うよ!

豚は1回の分娩で10頭以上の子豚を産みますが、
通常は長くても20~30分置きに子豚が生まれてきます。

もし30分以上経っても動きが無い場合、
子豚が大きくて産道に詰まっていたり、
母豚の体力不足でいきみが足りなかったりすることが考えられます。

その場合は分娩介助をしますが、こんな方法があります。

  • お腹をさすってあげる
  • 姿勢を変えてあげる
  • 膣に手を入れ、子豚を引っ張り出してあげる
ぶたちゅう
ぶたちゅう

人間の場合と一緒だね!

もちろんできるだけ自分で産んでくれる方がいいんですが、
時間がかかりすぎると子豚が産道で窒息したり、
母豚自体も危険なので、できる限り迅速に対処してあげます。

他にも、分娩予定日から大きくズレた豚には分娩誘発剤を投与したり、
分娩終盤には胎盤の排出を促すホルモンを注射するなど、
母子ともに健康に生まれてくるようにケアしてあげます。

分娩後(哺乳中)

分娩後は、子豚にお乳を上げる期間が3~4週間程度続きます。

その間にしてあげる事は分娩前と同じで、
調子を崩している豚はいないか、エサはちゃんと食べられているか、の確認です。

特に哺乳期間中はたくさんの子豚にお乳を上げるので、
しっかり餌を食べられないとどんどん痩せてしまいます。

ぶたちゅう
ぶたちゅう

子豚1頭につき1日500mlのお乳が必要だから、

10頭いたら5リットルもお乳を作るんだよ!

痩せないようにエサの量を調整しつつ、
しっかり子豚を育ててくれるのを見守るのが分娩後の仕事です。

2-2.子豚の為の仕事

子豚の為の仕事は「生まれたて」「数日目」「離乳まで」に分かれます。
こちらも順番に紹介していきます。

生まれたて

生まれた直後の豚にしてあげることは、
お母さんのお乳をしっかりと飲ませてあげる事です。

10頭以上も生まれるので、弱い豚は競争に負けてなかなかお乳が飲めません。
そこで、均等に飲めるように強い豚を少しの時間、隔離するなどで、
全ての子豚がしっかりとお乳を飲めるようにケアしてあげます。

ぶたちゅう
ぶたちゅう

あとは羊水で体が濡れて寒いから、
拭いてあげて体温が下がらないようにも注意しているよ!

数日後

生後1~3日程度で里子をします。

里子ってなに?

ぶたちゅう
ぶたちゅう

子豚の大きさを揃える為、実母から代理母に移動してあげることだよ!

生まれた兄弟の中でも、大きい子豚から小さい子豚まで様々なサイズの子豚がいる場合があります。
そのままでは小さい子豚はいじめられてしまい、十分なお乳を飲む事ができないので里子が必要になります。

具体的には、小さい子豚だけを集めて一頭の代理母につけてあげたり、
逆に大きい子豚を代理母に集めたりといった調整をして、
全員均等にお乳を飲める環境を作ってあげます。

離乳まで

里子が落ち着いた後は、離乳まで問題が無く育っているかを見守り、
必要に応じて暖かさの調整や怪我、病気の治療をしてあげます。

ぶたちゅう
ぶたちゅう

離乳にむけて、固形のエサを食べる練習も徐々にしていくよ~

そして離乳の日を迎えると、分娩舎の作業は一段落となります。

仕事内容について細かく書くと、
ボリュームがとんでもなくなってしまうので、
一旦はこれくらいにしておきます。

詳細な仕事内容はまた別の記事で纏めますので、
お待ちくださいませ!

3.分娩舎の仕事のコツ

分娩舎の仕事で一番難しいのは、母豚と子豚の心地よい環境が違うという点です。

分かりやすい所で言うと、
母にとっての快適な温度と子豚にとっての快適な温度が違うんです。

母豚はデブの大人なので暑がりです。
子豚は生まれたての未熟児なので寒がりです。
ここをどちらもバランスが取れる温度にしてケアしていくのがポイントです。

暑すぎ、寒すぎだとどうなるの?

ぶたちゅう
ぶたちゅう

それぞれこんな悪影響があるよ

  • 暑すぎ

    母豚のおっぱいが出なくなる
       ↓
    子豚が栄養補給できない
       ↓
    子豚が弱ってうまく育たない
  • 寒すぎ

    子豚が寒くて動きが悪くなる
       ↓
    おっぱいを飲みにいく元気がなくなる
       ↓
    子豚が弱ってうまく育たない

どちらにしても子豚がうまく育たないことになります。
そこで登場するのが保温箱という物です。

このような形の箱を作っておき、寒いときに子豚がここに逃げられるようにしておきます。
そうすると中は自分たちの体温であったまるし、直接の風も当たらないので快適な環境になります。

材質は木で作る事もあれば、ステンレスで作る事もあり、
既製品もあれば自作もあります。

ぶたちゅう
ぶたちゅう

ちょっといい奴だと中にコルツヒーターがついてたりするよ!

まとめ

如何だったでしょうか。

今回は分娩舎の仕事の概要について紹介しました。

  • 分娩舎は分娩をする場所
  • だから母豚と子豚が同居する空間
  • 母豚のための仕事と子豚のための仕事が混在する
  • 快適な温度帯が違うから大変!

分娩舎がどんな施設なのか、
どんな仕事をしているのかを理解してもらえたかと思います。

仕事内容の細かい部分は別の記事で紹介していきますので、
そちらも楽しみにしてください。

それでは、最後まで読んでいただきありがとう御座いました!

本ブログでは養豚場の仕事内容や雑学、
豚に関する知識を発信しています。

よければ他の記事も読んでみてくださいね。

あなたが『役に立ったな~』と感じて、楽しんでいただければ嬉しいです。

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