
分娩舎って子豚が生まれる部屋なんだよね!
そこではどんな仕事があるの?

OK!
じゃあ今回は分娩舎の子豚の仕事を詳しく説明していくね!
養豚場では何種類かの豚舎があり、部屋毎に仕事の内容が違います。
「そんなに色々あるの!?」「一気にたくさんの仕事、覚えられないよ!」
という皆さん、安心してください。
ここでは分娩舎での仕事、その中でも特に子豚の仕事を特に詳しく、分かりやすく説明していきます。
こんな人にオススメです。
- 養豚の仕事内容に興味がある
- これから養豚の仕事に就きたい
- 今まさに豚飼いライフをスタートさせた
- 分娩舎のノウハウを磨きたい
今回の記事を読んでいただければ、
・分娩舎で子豚にどんな仕事をするのか
・それぞれの仕事をする理由
・仕事のやりがいと苦労
・作業の流れとコツ
を理解することができます。
養豚場での実体験や私の感想も交えて、
解説をしていくのでお楽しみに!
ということで本編に行きたいんですが、
その前に少しだけ自己紹介させてください。
ぶたちゅう と言います。
IT業界から養豚業界へ転職し、日々豚について勉強中。
自分と同じような未経験での転職者や
養豚初心者の助けになりたいと思い、
毎日の業務の中での疑問や学んだ事を纏めています。
それでは本編スタート!
1.分娩舎とは!? ~分娩舎のざっくりとした仕事内容~

分娩舎の詳しい仕事内容をお伝えする前に、
まずは簡単に分娩舎の説明と、仕事内容の全体像をざっくりとお伝えしていきます。
分娩舎とは、お母さん豚が出産して、1カ月近く子供達と過ごす場所です。
そして分娩舎の仕事はざっくり説明するとこんな感じです。
母豚のための仕事
・母豚の餌やりと管理
・分娩の介助
子豚のための仕事
・分割授乳
・体重測定
・里子
・去勢、尾切り
・ナース
ということでこれらの仕事のやり方、
コツなどを詳しく説明していきたいと思います!
ただし、このうち『里子』『ナース』は、
分娩舎の仕事のキモとも言える部分です。
細かいコツまで解説するとボリュームが多くなりすぎるので、
今回はざっくり紹介して、詳しくは別の記事で説明していきますね!
余談ですが、皆さんは豚の妊娠期間をご存知ですか?
ヒトの妊娠期間は「十月十日」(280日)ですが、
豚はなんと114~116日!3か月3週間3日と言われます。
半分以下の期間で生まれてくるにも関わらず、
産む頭数は10~20頭!豚のお母さんはパワフルです。
2.母豚に対する仕事

母豚に対する仕事は、ざっくり言うと餌の管理と分娩の介助です。
仕事の流れは養豚場の分娩舎ってどんな部屋?で紹介しています。
もっと詳しい内容は別の記事で解説しますね。
3.子豚に対する仕事

ここでは子豚に対する仕事を解説していきます。
子豚は小さくてか弱いので、細かくケアしてあげることが必要になります。
なので作業としても工程が多く、細かいことが多いです。
こちらも生まれてから対応する時系列に沿って解説していきます!

分娩が終わったら、一部の子豚をカゴに入れて、
1時間ほどお乳が飲めないようにします。
この時、カゴに入れるのは既に乳が良く飲めていて体の大きい子豚です。

なんで飲めなくしちゃうの?

弱くて飲めていない子豚に初乳を飲むチャンスをあげるんだよ!
人間の赤ちゃんはへその緒を通してお母さんの免疫抗体をもらいますが、
豚の赤ちゃんは違います。
初乳と呼ばれる特別な母乳を介して、子豚に免疫抗体を渡します。

初乳は分娩が始まって24時間以内に出る母乳で、12時間を過ぎると濃度が減っていくんだよ!
初乳が飲めない場合、免疫抗体をもらえず、その子豚はとても弱く、ちゃんと育ちません。
その為、すべての子豚が確実に初乳を飲む必要があるんです。
母豚の乳の数が平均12~14個に対し、子豚は多い場合20頭生まれる事もあるので、
人の手でサポートが必要なのです。

みんなが公平に飲めるように順番に案内してあげるんだよ!
分割授乳のポイント
- カゴに入れるのは身体が大きくて乳がよく飲めているお腹のふくれた子豚
- 一時間経ったらカゴから出す(長すぎると乳が飲めなくて弱っちゃうよ!)
- カゴに入れている時は子豚が寒くないようにする
- 分娩から12時間以内に2回行う
- 乳が飲める子豚が10頭ほどになるようにカゴに入れる

大きい子豚をカゴに入れるのはどうしてなの?

小さい子豚は初乳が飲めないと死んでしまうんだ。
大きい子豚は力も強くて元気があるから、小さい子豚を押しのけて乳を飲めちゃうんだよ。

子豚の赤ちゃんって生まれてすぐから大変なんだね
初乳がしっかり飲めていると丈夫で健康な子豚に育ちます。

分娩が終わったら子豚の体重測定をしていきます。
- 子豚の数
- 子豚の体重
- 白子、黒子、ミイラの数
を記録していきます。
白子:お腹の中では生まれる直前まで生きていた子豚。お産が長引いたりして死んでしまった。
黒子:妊娠中期で死んでしまった子豚。
ミイラ:妊娠初期で死んでしまった子豚。
ほかにも弱って死んでしまった子豚や事故で死んでしまった子豚などを記録します。

体測と分割授乳が終わったら次は里子です。

里子って何だろう?なんのためにやるの?

母豚はたくさんの子豚を産むけど全部自分で育てられるとはかぎらないんだ!
子豚の生まれる数、母豚の乳の数はそれぞれ違います。
母豚の能力を最大限発揮させるために里子は重要な仕事のひとつです。
おおまかな作業としては、生後1~3日の間に、大きさや数をそろえるために他の母豚の子豚と入れ替えます。

里子のコツは長くなるからまた別の記事で詳しく紹介するね!

分娩後3日~1週間経ったら去勢を行います。
このタイミングで次の作業もまとめて行うことが多いです。
- 鉄剤やワクチンの投与
- 尻尾を切る

鉄剤ってなに?

子豚は急激に身体が大きくなるから貧血になってしまうんだ。だから鉄分を補給してあげるんだよ

予防接種とサプリメントみたいな感じだね
去勢では、臀部をメスで切開し、睾丸をニッパーや鉗子(かんし、手術用のはさみ)を使って取り除きます。
海外では麻酔をしている国もありますが、日本では無麻酔が一般的です。

痛そう!!

男性は特に慣れる前はたいへんな作業だよ…
去勢は何のためにやると思いますか?
正解は肉にしたとき、においがつかないようにするためです!
雄豚には独特の匂いがあります。言葉で表現するのは難しいですが、雄々しくややセクシーな香りです。
去勢しないまま成長すると、このにおいが豚の体に染みつき、肉にしたときにも感じてしまいます。
一部の国では香辛料など調理で工夫して臭いが残っていても美味しく食べられる方法があるようです。
日本ではシンプルな味付けが多いので去勢を行うのが一般的です。


去勢しなきゃいけない理由は分かったけど、しっぽを切らなきゃいけないのはどうして?
環境の変化などストレスを感じると、他の豚のしっぽをかじってしまうことがあります。
しっぽは脊髄につながっており、ひどいと髄膜炎になったりと病気に発展してしまいます。

だからしっぽを切る必要があるんだね
しっぽを切るときは感染症にならないように電気やガスの熱で尾を焼き切り、消毒を施します。
尾かじりについては、豚の尾かじりが起きる理由と具体的な予防策でも詳しく解説しています。

最後にナースについて説明します。ナースは主に2種類あります。
- 生まれてきた子豚の数が多すぎる時にやるナース
- 発育に遅れがある時にやるナース
里子のところでも説明しましたが、母豚が子豚を育てられる数には限度があります。
みんなが自分の育てられる数だけを産んでくれればよいですが、たくさん生まれるときもあります。
そんな時は少し前に子豚を産んだ母豚に代わりに育ててもらいます。

ナースのやり方については長くなるので他の記事で詳しく説明するね!
分娩舎で生活していく過程で痩せていってしまう子豚がいます。
そのような豚を放っておくとほかの豚にいじめられて最悪、弱って死んでしまいます。
そうさせないために細い子豚を集めて、もといた場所とは別の母豚にまとめて育ててもらいます。
4.分娩舎の仕事のやりがいと苦労

ここまで仕事内容を説明してきましたが、
実際に働いてみてどうだったのか、僕の実体験をお伝えします。
一番嬉しいのは、子豚たちが皆ブリンブリンに大きく育って離乳していく時です。
それから、最初は子豚が生まれてくる事に感動していたんですが、
あまりにたくさん見たので、今では日常になっちゃいました。笑

慣れちゃうんだ!
苦労したのは、難産の母豚の面倒を見る時です。
母豚の都合もあるので時間が読めず、遅い時間まで見る事もありました。
そして一番辛かったのは、弱って助からない子豚を淘汰する時です。
去勢も、最初は大変でした。
なるべく痛がらせないように気をつけながら、早く上達できるように意識して作業していました。
分娩舎は、子豚のかわいさを一番味わえる場所です。
でも、一番小さいという事は、一番弱くて死にやすいという事でもあります。

楽しいだけでは無理だよ。でもその分、大きく育って離乳していく時は本当に嬉しいんだ!
余談ですが、豚にはそれなりの頻度でオッドアイ(左右で目の色が違う)の子がいます。
ちなみに両性具有の子もたまにいます。
どちらも漫画では良く見ますが、現実で見たのはちょっと感動でした。
まとめ
如何だったでしょうか?
今回は分娩舎での子豚の仕事について紹介しました。
- 分割授乳はすべての子豚に初乳を飲ませるための仕事
- 里子は生後1~3日に大きさや数をそろえる仕事
- 去勢と尾切りは肉のにおいや病気を防ぐための仕事
- ナースは多く生まれた子豚や痩せた子豚を別の母豚に任せる仕事
- 大きく育って離乳していく喜びもあれば、助からない子豚と向き合う辛さもある
母豚の仕事は別の記事で紹介していきますので、そちらも楽しみにしてください。
それでは、最後まで読んでいただきありがとう御座いました!
本ブログでは養豚場の仕事内容や雑学、
豚に関する知識を発信しています。
よければ他の記事も読んでみてくださいね。
あなたが『役に立ったな~』と感じて、楽しんでいただければ嬉しいです。
