初心者のための養豚用語辞典【私が困った50語まとめ】

養豚場って専門用語とかわかりにくい言葉が多くない?
先輩が何言っているのかわからないんだけど…

ぶたちゅう
ぶたちゅう

OK!じゃあ今回は日常的に使われるけど、

初心者にはわかりにくい言葉を解説するね!

養豚場では業界特有の言葉が飛び交います。
でも、それらは経験者には当たり前なので、
わかっている前提で話が進んでしまうし、
なんとなく「どういう意味ですか?」って聞きづらいんですよね。

ということで今回は実際に入社後に私が困った、理解できなかった用語を、
使う場面や、背景も含めてまとめていきますね。

こんな人にオススメの内容です。

  • 養豚場で働き始めたばかりでわからない用語が多い
  • 養豚場で使われる専門用語に興味がある
  • 事前に勉強しておいて不安を減らしておきたい

今回の記事を読んでいただければ、
・どんな用語があるのか
・実際の仕事の場面ではどんな使われ方をするのか
その言葉の背景
を理解することができます。

ということで本編に行きたいんですが、
その前に少しだけ自己紹介させてください。

書いているのはこんな人

ぶたちゅう と言います。
IT業界から養豚業界へ転職し、日々豚について勉強中。

自分と同じような未経験での転職者や
養豚初心者の助けになりたい
と思い、
毎日の業務の中での疑問や学んだ事を纏めています。

それでは本編スタート!

あ行

・相対(あいたい)
 相対取引のこと。
 買ってもらう相手を決めた上で出荷し、購入してもらう取引。
 値段、数量、品質など相談の上で出荷する。

 なるべく相対で出荷できる頭数が増えると経営は安定する。
 対義語は上場取引(じょうじょうとりひき)、またはセリ取引

・足悪(あしわる)
 足の怪我、関節炎、奇形など、
 総じて足をかばっていたり、足が痛い状態の豚の総称
 「あいつ足悪いな」と使う。
 前足でも後ろ足でも、足悪。手悪とは言わない。

・井戸
 養豚場では普通にある。逆にないと水道代がとんでもないのでヤバい。
 知らなかったけど掘れば水って普通に出るらしい。
 掘るときは1m数万円という単位で業者さんに依頼するので、
 どの深さで水が出るかによって設置費用が変わる。

・陰ヘル(いんへる)
 陰嚢ヘルニアの略。
 幼少期に発生した場合、出荷まで育つことは少ないため、淘汰が推奨。

・餌を回す
 エサは、通常、タンクから各部屋までラインで繋がっている。
 従って、そのラインに餌を供給すること。
 要するに餌やり

・餌を切る
 エサは、通常、タンクから各部屋までラインで繋がっている。
 従って、そのラインの餌を停止すること。
 要するに餌やりを止めること。

・餌を落とす
 豚舎構造によっては溜まっている餌を豚の所に落としてやることで給餌する。
 要するに餌やり

・FCR(えふ しー あーる)
 別名:要求率
 何キロの餌を食べて何キロのお肉にできるかの指標。
 つまり太りやすさ。かっこよく言うと産肉性。

 正式名称は飼料要求率だが、”要求率”と言われれば一般的にこれ。
 Feed Conversion Ratioの略だけど誰もこっちのフルネームは覚えていない。

・F1(エフワン)
 豚の品種の中で原種2種類を掛け合わせた雑種であり、
 三元豚(三種掛け合わせの豚)の親となる状態の豚。
 詳しくはWiki

・雄当て
 発情を確認するため、雌の近くに雄を連れてってみること。
 なるべくフェロモンむんむんで涎だらだらな雄を連れて行くと効果が高い。

 あと、毎回同じ雄じゃなく違った種類の雄を当ててみるのも効果的。
 浮気は刺激的という事でしょうか。

・オールイン
 1つの豚舎や1つの部屋に同じタイミングで一気に豚を導入すること。

・オールアウト
 1つの豚舎や1つの部屋から豚が1頭もいなくなること。
 オールアウトできると病気の伝播が防ぎやすいので豚の健康を保ちやすい。

 対義語はところてん

か行

・ガスブルダー
 要するに人間用のガスストーブと一緒。
 ストーブと一緒なので、コルツ(ハロゲンヒーター)より
 空間全体を温められるのがメリット。
 こんな感じで空中に浮かして設置する。

・紙袋(かみたい)
 なぜか「かみぶくろ」ではなく「かみたい」という。
 お米業界の由来らしい。
 紙袋そのものを指すこともあれば、紙袋に入った餌をさすこともあるので、文脈で判断。
 「紙袋あげといてー」だと紙袋に入ったエサを給餌すること。

・カンカン
 体重測定のこと。
 各種ネットによると語源は”看貫”であり、体重測定の昔の言い方らしい。
 体重測定する行為を指す場合と、測定する機械を指す場合があり、文脈次第。

 前者は「カンカンするぞー」、
 後者は「カンカンもってきてー」と使う。

・給餌器(きゅうじき)
 豚の餌を入れるための資材。フィーダーとも言う。
 使い方によっていろいろな形がある。
  ┗ドライ給餌器:乾燥した状態のものを入れる餌箱。
  ┗ドライウェット給餌器
    乾燥した状態のえさ箱に水飲みもついているもの。
    豚が自分で水を出して、混ぜて食べられる。
  ┗ウェット給餌器
    液状にしたえさを入れる餌箱。
    単体の設備というよりは、大元の設備で液状にして
    パイプなどで送る全体でセットの設備。

 ドライ<ドライウェット<ウェット の順で食べやすい。
 白米よりおかゆの方が食べやすいのと一緒。

・去勢(きょせい)
 いわゆる去勢する行為ではなく、性別としての「去勢」という区分。
 商品として、「去勢」と「雄」は明確に別物になるので、
 区別して呼称される。
 「雄」は金玉がついた状態。

・ギルト
 未経産の候補豚のこと。
 英語で若い雌豚はGiltと呼ぶのでそのままギルトと呼ばれる。

 ギルティ(罪)は関係ない。
 むしろ無垢で純粋な雌豚たち。

・グループシステム
 スリーセブンを始めとする豚群を何グループかに分ける飼育方法。
 グループ分けすることで作業がまとまり、効率、労働生産性が上がる
 それによって従業員の休みも調整しやすくなる幸せな飼い方。

 対義語はデイリー。

・黒子(くろこ)
 ”ほくろ”ではなく”くろこ”。
 白子より前の段階で腹の中で死亡した子豚。妊娠中のストレスや病気などで発生。
 激増しない限りはある程度発生しても仕方がないものとして扱われる。

・燻蒸(くんじょう)
 燻して消毒すること。燻蒸用の消毒剤がある。
 業界によってはたぶん一般的な用語だけど、
 最初、私は「え?くんじょうってなんですか?どんな漢字ですか?」と聞いたのを覚えている。

・経産(けいさん)
 経産豚(けいさんとん)の略。
 一度でも分娩した豚のこと。
 人間でも経産婦と呼ばれるので一緒。

 対義語:未経(みけい)

・候補
 母豚になる予定の豚。候補豚(こうほとん)
 候補からさらに体型、乳房数、陰部の形状などの要素で選別され、
 母豚になる豚が決まる。

・コック
 水を出したり止めたりする蛇口のようなもの。
 出口だけではなく、水の通り道を調整するのにもコックが使われる。
 あっちのコックを閉めてこっちのコックを開けると、途中で栄養剤と混ぜれる、みたいな使い方。

 養豚場の人はコックぐらい自分で改造してつけたりできる。
 すごい。

・コルツ
 要するに家畜用のハロゲンヒーター。
 生まれたばかりの子豚は小さくて寒がりなので、
 暖房設備を用意してあげる。
 他の器具としては床暖房やガスブルダーがある。

さ行

・再発
 ”再び発生”することではなく、”再び発情”すること。
 つまり種付けの失敗。
 種付け後、受胎すると発情はこなくなるので、
 再度発情が来ているなら、うまく受胎しなかった証明になる。
 その場合もう一度種付けをする。

 関連語:再々

・再々(さいさい)
 うまく種がつかず再発を2回繰り返すこと。
 健康な豚の場合、タイミングさえ合えば90%超の確率で受胎するので、
 種が着き辛い= 生産価値がないのでこの段階で淘汰されることが多い。

・三元豚
 三種掛け合わせた状態の豚のこと。
 詳しくはこちらの記事に。
 日本で売られている大半の豚は三元豚

・車(シャ)
 トラック何杯分かを数える単位。
 荷台に1杯分なら1しゃ、2杯分なら2しゃと数える。
 「堆肥をあそこに4しゃ分運んどいて」という使い方

・上場(じょうじょう)
 上場取引のこと。別名:セリ
 買ってもらう相手を決めないまま出荷し、セリで値段を決めてもらい誰かが購入する取引。
 市場相場に完全に連動するので、高く売れるときはいいが安くなると切ない。
 対義語は相対取引(あいたいとりひき)

・ショベル 
 ショベルローダーのこと。
 糞を運ぶ、敷材を運ぶ、堆肥をかき混ぜる、
 死んだ豚を運ぶ、
など、色々なシーンで活躍。
 似た重機にホイールローダーもあるが、ちょっと違う。
 違いの詳細はコチラ。
 養豚場では小型のショベルローダーの方が一般的。

・白子(しろこ)
 ”しらこ”ではなく”しろこ”。
 ある程度の大きさにはなっているが分娩時に死亡した子豚
 分娩介助などの管理で助けられたかもしれないのでもったいない子豚として扱われ、
 重要な指標となる。

・スクリュー
 一般的に、糞を自動で片付ける除糞スクリューのこと。
 スイッチを入れると自動的に糞を運んでくれるので楽チン。
 スクレイパーで集めた糞をさらに別箇所に移動させる為に設置されている。

・スクレイパー
 糞を自動で片付ける徐糞装置の一種。
 豚がいるスペースの下に設置してあり、
 イメージとしては大きなトンボ(レーキとも呼ぶ。要するに運動場を整地するアレ)のようなもの 。 
 糞をガーっと引っ張って端っこに集めてくれる
 この設備が無いと超大変

・スリーセブン(3×7)
 豚を7グループに分けることで、
 今週は”種付け” 今週は”分娩” 今週は”離乳”と大きな仕事を3週分に分割する飼い方。
 作業がまとまることで効率、労働生産性が上がり、 
 従業員の休みも調整しやすくなる幸せな飼い方。

 他にも2×10、4×5などあるが、詳しく記載するとすごいことになるので、
 一旦割愛。

・種豚(しゅとん)
 文字通り、種の豚。
 雄も雌も種豚になるけど、一般的には雄豚を指す。
 雌豚は母豚、または候補豚と呼ばれるから。

・セリ
 セリ取引のこと。別名:上場(じょうじょう)
 買ってもらう相手を決めないまま出荷し、セリで値段を決めてもらい誰かが購入する取引。
 市場相場に完全に連動するので、高く売れるときはいいが安くなると切ない。
 対義語は相対取引(あいたいとりひき)

・ソブ
 井戸水に含まれる汚れ。赤さび。
 「うちの井戸はソブがひどくて…」みたいな使い方。
 配管が詰まるのでソブを除去する薬品を混ぜたり、配管を太くしたり、苦労する。

た行

・太鼓腹
 横にずらーっと並んで食べられるように長-い形の給餌器。
 離乳舎で使う。
 なんで太鼓腹っていうかと思ったら普通に商品名だった。

・大貫
 適正以上に大きくなった状態で出荷される豚のこと。
 一般的に廃用となった母豚を指す。
 語源は不明だけどと畜場や養豚場ではすごく当たり前に使われる用語。

・ダンプ
 主に堆肥を運ぶ。
 入れる部分の壁が高い、土砂禁トラックという種類を使う事が多い。

・手ぐれ
 自動ではなく、人力で餌をやること。
 小規模じゃないと無理だと思う。

・ところてん
 1つの豚舎や1つの部屋の中に豚が残ってる状態で、新しい豚を導入すること。
 大きい豚、小さい豚が同じ環境の中で育つため、
 免疫の強い弱いが出てしまい、病気が移りやすい。
 昨今では推奨されない飼い方。

 「その飼い方だとところてんになっちゃうじゃん」と使う

 別名(正式名称)は連続飼育

・ドブ餌
 餌を水またはお湯で溶いて食べやすくしたもの。
 離乳直後、まだ固形のエサに慣れていない子豚に与える事が多い。
 別名:練り餌

な行

・ナースをする
 哺乳中の子豚を別の母親(またはミルカー)に移し替えること。
 子豚の大きさを揃えるため、母豚の消耗を防ぐため、などの理由がある。
 どの豚をどうナースするかはテクニック。

 関連語:ナース豚

・ナース豚
 自分の子供を離乳後、他の母豚の子供を代理で育てる母豚のこと。
 高産歴や廃用が近い豚を使う
 若い豚は、早く次の種付けや分娩にまわってもらった方が、
 効率がいいからね。

・尿落とし
 溜め糞式(つまりボットン便所)で、溜めてある栓を抜き
 糞尿を浄化槽へ流すこと。
 「あそこの部屋、尿落としやっといて」「尿を落としといて」などと使う。

 別名:フラッシュ

・練り餌(ねりえ)
 餌を水またはお湯で溶いて食べやすくしたもの。
 離乳直後、まだ固形のエサに慣れていない子豚に与える事が多い。
 別名:ドブ餌

は行

・バタ弁
 バタフライ弁(別名:バタフライバルブ)の略。
 水の配管に使われる。
 当たり前にバタ弁と言われるので 最初は「それなんですか?」となる。

・発鑑(はつかん)
 発情鑑定の略。種付けのフェーズでは一番大事な工程
 だって発情して排卵してないと受胎しないもん。

・パド
 細かくあみあみしたダンボールに水を通すことにより、気化熱で涼しくする装置。
 ランニングコストとして電気代がかからないため、
 養豚場では一般的に使われる冷却装置

 ただのダンボールのくせして結構高い。

・バルク
 餌を運んでくれるトラックのこと。
 中が何槽かに分かれていて、
 「この槽は子豚のエサ」「この槽は母豚のエサ」というように、
 何種類かのエサを同時に運べる
 でも病気を伝播する原因にもなるので、敷地外からエサを投入してもらったり、
 他の豚屋さん経由はNGだったり、色々厳しい制約の中、頑張ってもらっている。

・ピッグフロー
 豚の流れ。キャッフローと同じ使い方。
 豚の導入から出荷までの流れと豚舎効率を考えるときに使う。
 「ピッグフローが悪い、良い」という。

・ヒネ豚
 痩せてしまい、きちんと売り物に育たなさそうな豚。
 病的に細い豚。基本的には淘汰対象。

・フィーダー
 豚の餌を入れるための資材。給餌器とも言う。
 使い方によっていろいろな形がある。
  ┗ドライフィーダー:乾燥した状態のものを入れる餌箱。
  ┗ドライウェットフィーダー
    乾燥した状態のえさ箱に水飲みもついているもの。
    豚が自分で水を出して、混ぜて食べられる。
  ┗ウェットフィーダー
    液状にしたえさを入れる餌箱。
    単体の設備というよりは、大元の設備で液状にして
    パイプなどで送る全体でセットの設備。

 ドライ<ドライウェット<ウェット の順で食べやすい。
 白米よりおかゆの方が食べやすいのと一緒。

・フラッシュ
 溜め糞式(つまりボットン便所)で溜めてある栓を抜き、
 糞尿を浄化槽へ流す
こと。
 「あそこの部屋、フラッシュしといて」などと使う。

 別名:尿落とし

・臍ヘル(へそへる)
 臍帯ヘルニア(へそヘルニア)の略。
 ヘルニアの大きさ次第では出荷まで育つが、大きすぎると淘汰対象。

ま行

・ミイラ
 黒子よりさらに前に死亡しており、カラカラもしくは半分吸収されたような状態で出てくる子豚。
 比較的妊娠初期~中期に胎内で死亡したもの。
 黒子と同じく、激増しない限りはある程度発生しても仕方がないものとして扱われる。

・未経(みけい)
 未経産豚(みけいさんとん)の略。
 まだ分娩を経験していない豚のこと。

 対義語:経産(けいさん)

・ミルキー or ミルカー
 ミルキーウィーンフィーダーの事。
 母豚の代わりに子豚にミルクを給餌する機械
 早期に母豚から離さなければならなかった子豚たちに使用する。

 でもどうしても母豚で育てた子豚には見劣りするので、
 やっぱ母親はすげーって思う。

や行

ら行

・リフト
 フォークリフトのこと。
 荷物を運ぶ以外に、大きなかごをのせて 豚を運ぶことにもよく使われる。

・連続飼育
 1つの豚舎や1つの部屋の中に豚が残ってる状態で、新しい豚を導入すること。
 大きい豚、小さい豚が同じ環境の中で育つため、
 免疫の強い弱いが出てしまい、病気が移りやすい
 昨今では推奨されない飼い方。

 別名(通称)はところてん

わ行

まとめ

如何だったでしょうか?

私が働く中で「なんだそれ?」って思った内容を中心にまとめました。
皆さんの疑問が少しでも解決すれば幸いです!

【おまけ】

あくまで私の勤務する養豚場と、私が学んだ範囲でのまとめになります。

間違っている内容や「これも追加して欲しい」などあれば、
お気軽にコメントいただけると嬉しいです。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとう御座いました。

またよろしくお願いします~

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